昨年より「TinyHouseJapan」という名前で「移動可能な家作り」を下郷で始めました。
以前、中古の小さなドイツ製キャンピングトレーラーに乗り、移住地探しをしていました。トレーラーは手軽に出かけることが可能で、好きな場所に行き、ドアを開ければ違う風景の中にいると言った、まるで「どこでもドア」みたいな感覚を得られる自由さがありました。
しかし使っているうちに内壁の結露やビニール素材の息苦しさ、閉鎖的な空間などの工業製品特有の限界を感じて、毎日暮らせる程の快適性はないということが解りました。
そこで私は住宅の大工と設計の仕事をしていましたので、自分で作ってみようと思いたち、平成26年1月より試行錯誤しながら5月に完成したのが、現在もほぼ毎日生活の場となっている「Basket」と名づけた木製キャンピングトレーラーです。
現在、日本を始め世界中でタイニーハウスムーブメントが起きていますが、小さな家に住むという価値観を持つ人が増えているということでしょうか。
その背景にあるのは、できる限り持つものを少なくする、ゴミになるものはなるべく使わないという考え方です。しっかり考えないと知らず知らずのうちに土に還らないものを増やし、未来の地球に住む生物に負担をかけることになるのです。
最近流行りの再生可能エネルギーなどは、よくよく計算をしてみると、そのまま石油を燃やして得るエネルギーより多くの石油を浪費してしまうという技術です。結局大きな商業資力にまんまと騙されてしまったということになりかねません。
私達の作るタイニーハウスにはソーラーパネル等は使用しませんし、できれば車ではなくロバに引いてもらえる程度にしたいなと思っています。
下郷に来てからも、「Basket」で街や里山を走り回っていますが、車の無かった時代には世の中というのはもっと広かったのだろうなと思う今日この頃です。
人類の進化も温故知新です。早さや効率の良さを求めるのではなく、生き方そのものから考えて、日々の制作に励みたいと思っています。
タイニーハウスジャパン
田上晴彦